SEとプログラマの違い

SE(システムエンジニア)とプログラマは何が違うのでしょうか?それぞれの職種の仕事内容、年収、残業時間、人口、企業規模、勤続年数を政府が公開する統計資料に基づきグラフ化し、職種間の差異を示します。

賃金構造基本統計調査では、SEの仕事は次のように定義されています。

電子計算機の規模能力を考慮の上、業務を総合的に分析し、より効果的に計算機を利用できるよう、業務をシステム化するための設計をする仕事に従事する者をいう。 対象業務の目的、狙い等全体的な検討、分析から、システムの図形化、インプット、アウトプット、ファイルの内容・形式の立案等、プログラミングの前提となる部分を担当する。したがって、知識技能は、プログラマーよりも高度なものを必要とする。
○(含まれる職種) システム・プランナー、システム・アナリスト
×(含まれない職種) プログラマー、電子計算機オペレーター

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プログラマの仕事は次のように定義されています。

主としてシステム・エンジニアによって作成されたデータ処理のシステムを検討して、電子計算機に行わせるプログラムを作成し、操作手順書を作る仕事に従事する者をいう。
電子計算機を利用する流れ図を作成し、プログラム言語を用いて、計算機に利用出来るように流れ図を指令コードに翻訳してプログラムを作成する。時には、簡単な業務の分析を行ったり、自ら、オペレーターの作業に従事することもある。専ら、コーディングのみを行う者も、プログラマーに含む。
除外
1) 専ら、電子計算機の操作に従事する者
2) 専ら、電子計算機を利用できるよう業務の分析等の仕事に従事する者
×(含まれない職種) システム・エンジニア、電子計算機オペレーター

  1. 関連リンク
    1. システム・エンジニアの年齢別平均年収
    2. プログラマーの年齢別平均年収

年収の違い

SEとプログラマの年齢別の平均年収を下図に示しました。年齢別の平均年収は、厚生労働省が公開する「平成28年賃金構造基本統計調査」のデータから、職種・性、年齢階級別に記録されている平均年齢と平均年収を系列データとし、3次スプライン補間して求めています。

SEとプログラマの平均年収の年齢による変化

「平成28年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)を加工して作成
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/

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職種間で年収を比較してみると、男女ともに各年齢においてSEの方がプログラマよりも年収が100万~150万円ほど高いことが示されています。どちらの職種も年齢が高くなるほど年収は上がるという年功序列型のグラフとなっていますが、果たして高齢のSE・プログラマほど収入に応じたパフォーマンスを発揮しているという事実はあるのでしょうか?疑問に感じる方は多いことでしょう。
SE・プログラマの職種の特徴として、女性の年収が平均の倍程度高いことが挙げられます。女性はパート、アルバイトで働く方の割合が多いため、女性の有業者の平均年収は男性に比べ低くなります。その平均と比較すると、SE・プログラマとして働く女性の年収は倍程度高くなります。
一方、男性では状況が異なり、男性のSEの平均年収は全年齢を通じて全職種の平均年収よりも100万~150万円程度高いのですが、男性のプログラマにおいては40代後半から50代後半に掛けて男性の平均年収よりも低い状態となる年齢層が見られます。

残業時間の違い

下のグラフにSEとプログラマの月あたりの労働時間を年齢別・男女別に示しました。年齢別の平均労働時間は、所定内実労働時間数と超過実労働時間数を足した数値を系列データとし、3次スプライン補間して求めています。
グラフを見てみると、SEよりもプログラマの方が総じて労働時間が若干長いと言えますが、残業時間換算(月あたりの労働時間から170時間を減ずる)で考えると各年齢ともに残業20時間程度となっています。IT分野の職種は残業時間が長いと悪名高いですが、統計データを見る限り、残業時間が60時間を超えるケースは、SE・プログラマという職種においては珍しいケースと考えられます。残業時間が60時間を超えることが普通だと思っている場合、その認識が問題と思われます。

SEとプログラマの平均労働時間の年齢による変化

「平成28年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)を加工して作成
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/

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人口・男女比の違い

SEとプログラマの国内人口が、企業規模10人以上の従業員に限り「平成28年賃金構造基本統計調査」に記録されています。
SEの人口は男女合わせて37万0950人、うち男性が30万8610人(83.2%)、女性が6万2340人(16.8%)です。プログラマの人口は男女合わせて8万7760人、うち男性が7万0440人(80.3%)、女性が1万7320人(19.7%)です。SEの人口がプログラマの4.2倍程度多い計算になります。男女比はSEとプログラマ間でほとんど変わりません。

SEとプログラマの人口
システム・エンジニアの男女比
プログラマの男女比

「平成28年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)を加工して作成
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/

企業規模の違い

SEとプログラマが勤める会社の企業規模を調べてみると、100人~1000人未満の会社に勤める方が最も多いことがわかります(SEで43.6%、プログラマで52.6%)。SEではプログラマより1000人以上の企業で働く方が多く、その割合はSEで30.7%、プログラマで12.7%です。10人~100人未満の企業で働く方はSEよりもプログラマで多く、その割合はSEで25.8%、プログラマで35.2%です。

システム・エンジニアが勤める企業規模比
プログラマが勤める企業規模比

「平成28年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)を加工して作成
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/

勤続年数の違い

平均勤続年数の統計データをSEとプログラマについて比較すると、明らかな差異が認められます。
賃金構造基本統計調査では、「勤続年数」は「労働者がその企業に雇い入れられてから調査対象期日までに勤続した年数」と定義されています。平均勤続年数は、その職種における離職率の高低の良い指標となります。離職率が低い職種であれば、年齢が高くなるにつれ平均勤続年数は長くなるはずですが、逆に離職率が高い職種の場合は年齢と平均勤続年数に正の相関が見られなくなります。
同じ労働者が同じ会社の中で職種を変えても勤続年数は0年には戻りません。しかし、勤続年数が長い労働者が、ある職種を担当する確率が高い状況がある時は、その職種の労働者の平均勤続年数が高く計算されます。例えば、同じ会社の中でSEとプログラマの2種の職種が定められていて、入社して最初の頃はプログラマとして働き、勤続年数の長いプログラマはSEへ職種を変えるという慣習がある場合、プログラマはSEと比べて離職率が高いわけではないが職種ごとに比較するとプログラマの方が勤続年数が短くなることになります。

SEとプログラマの平均勤続年数の年齢による変化

「平成28年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)を加工して作成
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/

  1. 関連リンク
    1. システム・エンジニアの年齢別平均年収
    2. プログラマーの年齢別平均年収
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