転職した人の退職理由の統計データ
政府が公開する統計データによると、転職者が前の勤務先を辞めた理由で最も多いのは、男性では「定年・契約期間の満了」、女性では「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」という理由です。男女の差が特に表れる退職理由は「会社の将来が不安だった」という理由で、男性では7.4%の回答者が退職理由として挙げていますが、女性では2.6%に留まります。
下に転職者の退職理由を男女別に円グラフで示します。
「2015年雇用動向調査」(厚生労働省)を加工して作成
注):この統計は、転職により入職した人が転職先の会社でアンケートを受け取り回答するという形式で行われているため、母集団は退職者ではなく入職者です。退職後、転職できない人、しない人も一定数いますので、退職者全体でデータを取った場合とは若干異なる分布を示していると考えられます
業界分野による退職理由の分布の違い
業界により退職理由は異なる分布を示しており、宿泊業,飲食サービス業では「職場の人間関係が好ましくなかった」が最も多く、製造業では「給料等収入が少なかった」が最も多くなります。
下のボタン群で業界分野と性別を選択すると、選んだ業界と性別における転職者の退職理由の分布が円グラフとして表示されます。デフォルトでは製造業・男女計が選択・表示されています。
業界分野
性別 男女計
男
女
「2015年雇用動向調査」(厚生労働省)を加工して作成
建設業
建設業では、男性で「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」という理由で退職する方が比較的少なく、逆に女性で比較的多いという傾向が見られます。また、「会社都合」による退職が男性で少なく女性で多いという特徴があります。「仕事の内容に興味を持てなかった」とする回答者が男女ともに産業全体に比べて多く、適性が合わない方が職に就いてしまう傾向が強い業界であると言えるでしょう。
製造業
製造業では、男性で「仕事の内容に興味を持てなかった」とする退職理由の回答者が産業計に比べ少なく、逆に女性でこの理由により退職したという回答者が比較的多くなるという傾向があります。一方、「能力・個性・資格を生かせなかった」とする退職理由の回答者が男性で産業計と比べて多くなり、逆に女性では減少するという結果となっています。男性では「仕事に興味はある」方が業界全体と比べて多い一方、その中で「能力を生かせない」方が多くなる、女性では「仕事に興味は無い」方が比較的多い一方で「能力を生かせる」と考える方が比較的多い、と言えるでしょう。
電気・ガス・熱供給・水道業
電気・ガス・熱供給・水道業では、男女ともに退職理由のほとんどが「定年・契約期間の満了」となっています。他の業界と比べると、退職理由の分布が異質な業界であると言えます。
情報通信業
情報通信業では退職理由に明るい傾向が目立ち、「職場の人間関係が好ましくなかった」「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」という理由で退職した方が産業計と比べて少なく、また、女性では「結婚」により退職する方が非常に多いという傾向があります。情報通信業というと、労働時間が長くプレッシャーも高いというイメージがありますが、実際はそうではないのかもしれません。
卸売業,小売業
卸売業,小売業では、「定年・契約期間の満了」により退職する方が男女ともに比較的少ないという若干の特徴がありますが、ほぼ産業全体の平均と同様の退職理由の分布が示されています。