通勤時間が長い市区町村ランキング

各市区町村にお住いの方の平均通勤時間を順位付けしてグラフに示しています。

「平成25年住宅・土地統計調査」によると、平均通勤時間が最も長い市区町村は神奈川県葉山町であり、片道の平均通勤時間は65.7分です。2位は隣接の神奈川県逗子市で平均通勤時間61.3分、3位は大阪府豊能町で60.7分です。全国の市区町村で片道の平均通勤時間が1時間を超すところはこの3市町しかなく、4位以降は60分未満の数値となります。4位、5位は千葉県の印西市と我孫子市でともに59.5分、6位は東京都の町田市で58.0分です。上位を神奈川県、千葉県、東京都の市区町村が占めています。

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全国市区町村の平均通勤時間ランキング

「平成25年住宅・土地統計調査」(総務省統計局)を加工して作成

1位 神奈川県葉山町 65.7分

日本一通勤時間が長い地域は神奈川県葉山町です。平均通勤時間全国1位の神奈川県葉山町、全国2位の逗子市、全国8位の鎌倉市は隣接する市町で、神奈川県南東部の三浦半島西部に位置しています。このエリアは、全国で最も通勤時間が長いエリアと言えます。このエリアにはJR横須賀線、東海道線が通っており、特に湘南新宿ラインは速い電車であるため都心へのアクセスが容易であることから、都心部への長距離通勤者が多いのだと考えられます。葉山・逗子・鎌倉は、緑、海、歴史、人気いずれもあるため、通勤時間が長くても住み続けようと考える方が多いのではないでしょうか。皇室の別荘である葉山御用邸があり、気品高いイメージがあります。
葉山町内には鉄道路線は無く、逗子市のJR逗子駅、京急新逗子駅、および横須賀市の京急汐入駅、衣笠駅が最寄り駅となります。逗子市と比べて通勤時間が長い理由は、駅までの時間が長いことに由来しているのではないでしょうか。

2位 神奈川県逗子市 61.3分

平均通勤時間全国2位の逗子市は、平均通勤時間全国1位の葉山町の隣の市です。市内にはJR横須賀線と京急線が走っており、都心への通勤をしやすくしている一方で、都心へ通勤できる可能性を与えていることから、平均通勤時間を高めている原因であるとも言えるでしょう。
葉山町、鎌倉市と並び、逗子市も人気が高く、また、地価も高いです。市内には披露山庭園住宅などの高級住宅街が見られます。
余談ですが、逗子はアルファベットで「Zushi」となりますが、全国の市区町村をアルファベット順に並べたとき、最後尾に来る市区町村が逗子市です。ちなみに後ろから2番目は香川県善通寺市(Zentsuji)、3番目は宮城県蔵王町(Zao)です。

3位 大阪府豊能町 60.7分

大阪府の北西部に位置する豊能町が平均通勤時間全国3位にランクインしています。豊能町は大阪府内の行政区域ですが、北摂山系の中にあり、山岳などにより交通の便が悪く、町内の西地区と東地区を移動しようとしても兵庫県内に入り迂回しなければならないなどといった地域の特殊な事情があります。関西地域にあって平均通勤時間が特に長い理由は地形によるものと考えられます。

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4位 千葉県印西市 59.5分

4位と5位には千葉県の北西部に位置する印西市と我孫子市が同点でランクインしています。両市は隣在する市であり、1970年代からベッドタウンとして開発が進められてきました。印西市と白井市、船橋市は千葉ニュータウンと呼ばれる大規模ニュータウンを形成しており、北総線・京成線の千葉ニュータウン中央駅は印西市に位置しています。

5位 千葉県我孫子市 59.5分

千葉県我孫子市には常磐線我孫子駅、天王台駅、成田線東我孫子駅、湖北駅、新木駅、布佐駅が位置しています。市内の労働者の3割以上が東京都心へ通っており、平均通勤時間が長い理由であると考えられます。

6位 東京都町田市 58.0分

東京都町田市は東京都最南部に位置し(島嶼地域を除く)、神奈川県境に接しています。中心駅である町田駅から小田急線快速急行の利用で新宿駅まで30分でアクセスできるなど、東京都区部へのアクセスがよい地域であるため、東京都心へ通勤する方が多く、結果、平均通勤時間が長くなっていると考えられます。

各市区町村の平均通勤時間を示す全国地図

各市区町村の平均通勤時間を色で示した地図を下に示しています。俯瞰してみると、通勤時間が長い地域は首都圏と大阪市周辺に分布していることが分かります。その他、福岡県にやや通勤時間が長い地域が見られます。仙台市周辺、名古屋市周辺には通勤時間が長い地域は見られません。全国を見ると、日本では片道の通勤時間は20分以内が普通と言えます。住む地域により異なる“常識”が形成されていますが、片道2時間、往復4時間という生活は極めて異常と言えるでしょう。

各市区町村の平均通勤時間を示す全国地図

「平成25年住宅・土地統計調査」(総務省統計局)
「地球地図日本」(国土地理院)を加工して作成
http://www.gsi.go.jp/kankyochiri/gm_jpn.html

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首都圏の平均通勤時間

平均通勤時間が特に長い地域は首都圏です。首都圏における平均通勤時間の分布を示す地図を拡大してみると、東京都心を中心とするドーナツ状の分布が観察できます。神奈川県湘南地区、東京都多摩地区、埼玉県南部、千葉県北西部に平均通勤時間が長い地域が集中しており、これらが東京都心を囲むように分布しています。ドーナツの中心には東京都千代田区が位置しており、この地域に住む方の平均通勤時間は22.2分です。オフィス街に自宅を構えているような状態と思われますので、遠い土地に職場を持つ方が珍しいのでしょう。
ドーナツ状の分布を示すもう一つの理由は、職の多い都心部に職場がある方がドーナツの輪の外に家を構えてしまうと、実際上通勤できないためであると考えれます。結果、ドーナツの外縁が形成されます。もし労働者が無限に通勤時間を費やせるのであれば、漏斗状の分布が地図上に示されることになると想像されます。

首都圏の平均通勤時間を示す地図

「平成25年住宅・土地統計調査」(総務省統計局)
「地球地図日本」(国土地理院)を加工して作成
http://www.gsi.go.jp/kankyochiri/gm_jpn.html

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