HUNTER×HUNTERの休載の統計データ
週刊少年ジャンプに連載されている人気漫画、ハンター×ハンターは休載が多いことで知られています。
文化庁が公開するデータベースを基に、連載期間中の掲載号の分布や、休載期間の長さを調べ、他のタイトルとの比較をしました。
HUNTER×HUNTERの掲載号
下図に、ハンター×ハンターが掲載されたジャンプの号を示します。四角の中の数字は号数を、四角上部の数字は通巻号数を示します。四角の色が緑であれば掲載号、赤であれば休載したことを示します。
文化庁「メディア芸術データベース(ベータ版)」
(https://mediaarts-db.bunka.go.jp/)を加工して作成
週刊少年ジャンプは1年で51~53号発行され、週ごとに号数が1加算されていきます。毎年1月1日に1号に戻ります。 通巻号数は、1968年の創刊号から1ずつ加算されている号数であり、2021年5月24日号で2600号となりました。
掲載号を示す図を見てみると、ハンター×ハンターの休載期間は年単位となることがあり、休載の頻度が高くなった2006年以降は、連載期間中の半数以上の号で休載していることが分かります。
連載が開始された1998年3月から2005年までの7年間は、5週連続で休載することは年に1度あっても、1年近く休載することはありませんでした。
しかし2006年に入ってからは、休載期間と連載期間が逆転しており、2006年は48号中4号のみ掲載、翌2007年は48号中8号掲載、
2008年は20号掲載したが、2009年は年初の2号分だけ掲載してその後は休むという、富樫先生以外は絶対許されない運用となっていきました。
2015年に至っては、ハンター×ハンターは1回もジャンプに載りませんでした。
下の動画は、週刊少年ジャンプへの連載回数の時系列をタイトルごとに表示したものですが、動画の後半でハンター×ハンターのバーの増加が断続的になっていることが分かります。
HUNTER×HUNTERの休載の年別の頻度
下図に、ハンター×ハンターの掲載号と休載号の数を年ごとの週刊少年ジャンプの発行号数で割った数を集計した結果をグラフとして示しています。
文化庁「メディア芸術データベース(ベータ版)」
(https://mediaarts-db.bunka.go.jp/)を加工して作成
連載が開始された1998年は、連載期間中の休載号の割合は8.1%(37号中34号掲載)と低い数字でしたが、翌1999年には休載号の割合が31.2%に増加し(48号中15号休載)、
その後2005年まで30%程度の割合で休載する状態となっていました。
2006年に休載の頻度が急激に上昇し、48号中44号(91.7%)で休載しています。2006年以降2017年まで、ハンター×ハンターは50%以上の号で週刊少年ジャンプを休載しており、
2006年、2009年、2013年、2015年において休載号の割合が9割を超えています。
HUNTER×HUNTERの連続休載期間
ハンター×ハンターは、4週に1度掲載される、という連載形態ではなく、休載が連続して1年近く続く場合があります。ハンター×ハンターの連載期間中で最も長い休載期間はどの回からどの回、いつの時期 なのでしょう?調査した結果を下記に示します。
連続休載号数休載期間休載前最後のタイトル再開後最初のタイトル 802014年09月08日-2016年04月25日No.349 蠱毒No.350 王子 792006年03月06日-2007年10月15日No.260 1-4No.260 突入 1 692013年01月15日-2014年06月09日クラピカ追憶編No.341 厄災 562010年06月07日-2011年08月15日No.310 始動No.311 期限 492009年01月15日-2009年12月21日No.290 名前No.291 自問 462016年07月25日-2017年07月03日No.360 寄生No.361 辞退 342012年04月09日-2012年12月10日No.340 特命クラピカ追憶編 192008年06月02日-2008年10月13日No.280 直撃NO.281 神速 92008年01月15日-2008年03月10日No.270 鱗粉乃愛泉No.271 分断 72005年12月05日-2006年01月28日No.256 2-1No.257 1-1 62000年06月19日-2000年07月24日9月3日49月3日5 62002年06月10日-2002年07月15日No.148 試験開始No.149 遭遇 62004年05月24日-2004年06月28日No.215 遺言216 東ゴルトー共和国 52001年09月10日-2001年10月08日No.127 9月10日 4No.128 9月10日 5 52004年09月20日-2004年10月18日No.221 再会 2No.222 再会 3文化庁「メディア芸術データベース(ベータ版)」
(https://mediaarts-db.bunka.go.jp/)を加工して作成
2017年までのハンター×ハンターの連載期間中で最も長い休載は、2014年9月8日から2016年4月25日までの1年7ヶ月半、ジャンプ80号分を休んだケースであり、
「No.349 蠱毒」から「No.350 王子」までの間です。
その次に長い休載が、2006年3月6日から2007年10月15日までの1年7ヶ月半、ジャンプ79号分を休んだケースであり、
「No.260 1-4」から「No.260 突入 1」までの間です。
しかしながら、2013年1月に「クラピカ追憶編」で2号分ジャンプにハンター×ハンターが掲載され、その前に34号分、後に69号分休載しており、読者の実感としては
「クラピカ追憶編」を挟む2012年4月9日から2014年6月9日までの2年2ヶ月間が最も長い休載と感じられているのではないでしょうか?
他タイトルとの休載頻度の比較
富樫先生は昔からこうだったのか?、というと、そうではありません。「幽遊白書」は1990年12月3日から1994年7月25日までの3年8ヶ月間、174回ジャンプに連載されましたが、その間、1994年6月6日号の 1度しか「幽遊白書」は休載していないと記録に残っています。
文化庁「メディア芸術データベース(ベータ版)」
(https://mediaarts-db.bunka.go.jp/)を加工して作成
次作の「レベルE」は、アシスタントを使わずに一人で書くとどうなるか?という実験的な作品でもあったため、4週に1度掲載される運用となっていました。
文化庁「メディア芸術データベース(ベータ版)」
(https://mediaarts-db.bunka.go.jp/)を加工して作成
他のタイトルの休載の状況はどのようになっているのでしょうか。
ハンター×ハンターと同時期に連載が開始されたワンピースの例。2013年以降、年8~9回休載しています。
文化庁「メディア芸術データベース(ベータ版)」
(https://mediaarts-db.bunka.go.jp/)を加工して作成
NARUTO-ナルト-の例。連載中は年3回程度休載していました。
文化庁「メディア芸術データベース(ベータ版)」
(https://mediaarts-db.bunka.go.jp/)を加工して作成
上の動画を観ると、バープロットの棒の長さの増加が断続的になっている、すなわちジャンプ連載のタイトルで休載が多いタイトルとして、 SPACE ADVENTURE コブラが挙げられます。SPACE ADVENTURE コブラは1978年から1984年に掛けてジャンプに断続的に連載されたタイトルであり、 年のおよそ半数ほどは休載していました。
文化庁「メディア芸術データベース(ベータ版)」
(https://mediaarts-db.bunka.go.jp/)を加工して作成
なぜハンター×ハンターの休載は許されているのか
なぜハンター×ハンターの休載は許されているのでしょうか?文化庁メディア芸術データベースからはそんなことは読み取れませんが、漫画家志望の青年二人を描いた漫画「バクマン。」に登場する
ジャンプ編集長の言葉が答えなのではないでしょうか。
「マンガは面白ければいいんだ 面白いものは連載される 当たり前だ」 ―バクマン。佐々木編集長
例えば、本記事の作成者は、ジャンプ漫画で今も追って読んでいる漫画は富樫先生のハンター×ハンター唯一つですし、ファンが多いハンター×ハンターという名作だから休載のデータ分析をしてみようと
動機が付くのであって、仮に別の作品で休載が多くても休載のデータ分析は実施しないでしょう(データを文化庁のデータベースから集めてデータを整理しグラフを作る作業は、実は1週間程度掛かります)。
休載期間が長いということは休載できる作品でなければならないわけで、それだけ多くの人が続きを楽しみにしていることを意味しています。
- 関連リンク