転職した人の志望動機の統計データ
政府が公開する統計データによると、転職者が転職先を選んだ理由として最も多いものは、男女ともに「仕事の内容に興味があった」です。2位は男女で異なり、男性では「能力・個性・資格が生かせる」(17.0%)、女性では「労働時間、休日等の労働条件が良い」(18.1%)という理由です。更に、女性では「通勤が便利」という理由で転職先を選んだ方が12.7%おり、男性ではこの割合は6.2%であることから、女性では職場の環境を重視する傾向があると言えます。結婚や出産、育児等の選択肢が男性よりも重視される傾向があることから、働く女性が労働環境を重視する傾向が男性よりも高いのではないでしょうか。
下に転職者の志望動機の分布を男女別に円グラフで示します。
「2015年雇用動向調査」(厚生労働省)を加工して作成
業界分野による志望動機の分布の違い
業界により志望動機は異なる分布を示しており、教育,学習支援業では「能力・個性・資格が生かせる」が最も多く、電気・ガス・熱供給・水道業では「とにかく仕事に就きたかった」が最も多くなります。
下のボタン群で業界分野と性別を選択すると、選んだ業界と性別における転職者の志望動機の分布が円グラフとして表示されます。デフォルトでは製造業・男女計が選択・表示されています。
業界分野
性別 男女計
男
女
「2015年雇用動向調査」(厚生労働省)を加工して作成
建設業
建設業では、男性で「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」という理由で退職する方が比較的少ないのですが、志望動機でも同様に「労働時間、休日等の労働条件が良い」と答えた方は比較的少ないという結果になっています。興味深いのは女性の志望動機の分布で、産業計では13.4%ある「能力・個性・資格が生かせる」という動機で入社したと回答した方は建設業では3%以下であり、更に「通勤が便利」という理由で入社したと回答した方が21.3%の割合でいて、産業計より8.5%多い結果となっています。
製造業
製造業における退職理由の分布の特徴に、男性で「仕事の内容に興味を持てなかった」とする退職理由の回答者が少なく、女性でこの理由により退職したという回答者が多いというものがあるのですが、志望動機においては、「仕事の内容に興味があった」と回答した方は産業計と比べて男女ともに減少しており、特に女性では産業計の半数以下の12.5%という数値となっています。男性の転職者で「会社の将来性に期待できる」と回答した方が産業計の1.5倍ほどの割合でおり、リストラや経営不振で苦しい製造業の現状を反映しているのかもしれません。
電気・ガス・熱供給・水道業
電気・ガス・熱供給・水道業では、男女ともに「仕事の内容に興味があった」「能力・個性・資格が生かせる」というポジティブな理由で転職している方が極度に少なく、産業計に比べて両者の和は半分以下となっています。
情報通信業
情報通信業では「通勤が便利」という理由で転職した方が少ないという特徴があります。情報通信業は事業所が都心部に集中しやすいためでしょうか、立地には制約があるのかもしれません。
卸売業,小売業
卸売業,小売業における志望動機の分布は、産業計とほとんど同じ分布を示しており、平均的な業界であると言えるでしょう。